親に聞く質問|テーマで聞く
写真を見ながら聞く質問
アルバムの1枚から、写っていない話まで
古い写真には、写っている以上のことが詰まっています。誰が撮ったのか、カメラの後ろに何があったのか、その日の朝はどう過ごし、撮ったあとはどこへ行ったのか。1枚を一緒に見ながら聞くと、ふだんの会話では出てこない地名や呼び名、撮る前にかけられた一言が自然に出てきます。家族だと思い込んでいた人が、実は近所の恩人だったということもあります。写っている人は「この方はどなたですか」と尋ね、こちらから決めつけないことが入口です。
一写真を手に取って話す入口
まずは写真そのものから入ります。写っている人、しまい場所、裏の書き込みなど、答えやすいことから聞きます。
この写真のことを、思いつくままに聞かせてください。
短ければ「いつごろの写真ですか」と年代から。子どものころ、結婚前後、子育てのころなど。
写っている方は、どなたですか。
端の人や後ろ姿の人も一人ずつ指さして聞く。分からない人は分からないままでよい。
皆さんは、それぞれ何と呼ばれていたのでしょうか。
「みっちゃん」「本家のおじさん」などの呼び名は、本の台詞にそのまま使えます。
この写真は、どこにしまってありましたか。
アルバム、お菓子の缶、仏壇の引き出し、財布の中など。しまい場所に思いが出ます。
写真を見て、最初に目がいくのはどこですか。
人の顔、服、背景の建物など。語り手の目線の先に、話の入口があります。
このころ、ご自分はおいくつでしたか。
学年、勤めて何年目、子どもが何歳だったかなどで、年代をゆるやかに絞ります。
写真の裏には、何か書いてあるでしょうか。
日付や地名、名前の走り書きがあれば読んでもらう。誰の字かも聞けます。
同じ日に撮った写真は、ほかにもありましたか。
なければ「この1枚だけが残ったわけ」を聞くと、写真への思いにつながります。
二その日の景色と音を思い出す
写真の中に入っていくように、場所や季節、音、服の手ざわりを聞きます。写っていない枠の外にも目を向けます。
ここは、どこで撮った写真ですか。
家の前、学校、駅、旅行先、写真館など。地名は町の名前くらいまでで十分です。
季節は、いつごろだったのでしょう。
服装、木の葉、雪、日差しから一緒に考える。入学式、お盆、正月などの行事も手がかり。
カメラの後ろには、何がありましたか。
写っていない建物、道、人だかりなど。枠の外を思い描いてもらうと場面が広がります。
そのとき聞こえていた音を、覚えていますか。
子どもの声、汽車、蝉、祭りの囃子、ラジオなど。出てこなければ次へ進みます。
着ている服のことを聞かせてください。
誰が縫ったか、よそ行きか普段着か、借り物か。色や生地の手ざわりも聞けます。
その日の天気や空気の感じは、どうでしたか。
暑い、寒い、風が強いなど。まぶしそうな顔や寒そうな手元があれば指さして聞く。
背景に写っているものを、一つずつ教えてください。
看板、自転車、電柱、家の窓など。いまはなくなったものが、本の景色になります。
三撮った人とその日の前後
カメラを構えていた人と、写真の前と後の時間を聞きます。撮った人の一言や、写っていない人の話が出てきます。
この写真は、どなたが撮ったのですか。
家族、近所の人、写真屋さん、通りがかりの人など。分からなければ誰のカメラかから。
カメラは、誰のものでしたか。
家にあったか、借りたか、写真館か。カメラが貴重だったころは持ち主の話が出やすい。
撮る前に何と声をかけられたか、覚えていますか。
「動かないで」「笑って」など。撮った人の一言は、台詞として本に残せます。
この日は、何の集まりや用事だったのでしょう。
入学式、法事、旅行、祭り、ただの日曜日など。特別な日でなくてもかまいません。
撮る前、その日の朝はどんなふうに過ごしましたか。
誰と出かけたか、汽車やバス、歩きなど何で向かったか。支度の様子も聞けます。
撮り終わったあとのことを聞かせてください。
何を食べたか、どこへ寄ったか、どう帰ったか。食べものは記憶を引き出しやすい。
写っている方とは、どんな間柄でしたか。
親しかったか、たまに会うだけか。決めつけず、語り手の言葉で関係を話してもらう。
その場にいたのに、写っていない人はいましたか。
撮った人のほか、席を外していた人、写るのを嫌がった人など。
四いま、この1枚を見て
当時の気持ちと、いま見て思うことを聞きます。急がず、語り手が写真を眺める間を待ってから尋ねます。
写真ができあがってきたとき、どう思いましたか。
現像を待った日数、目をつぶっていた、などの小さな出来事も話のきっかけになります。
このころのご自分に、何と声をかけたいですか。
言葉が出にくければ「この子はこのあとどうなりましたか」と聞きかえます。
いま改めて見て、気づくことはありますか。
若さ、表情、背景の変わりようなど。当時は見えなかったものが出てきます。
写っている方の、その後のことを聞かせてください。
話したい範囲だけでよい。亡くなった人の話は急がず、語り手の間に合わせます。
この写真を手もとに残してきたのは、なぜでしょうか。
捨てられなかった、たまたま、人から渡されたなど。理由がなくてもかまいません。
写真には写っていないけれど覚えていることを、話してください。
匂い、言い争い、帰り道の景色など。写真の外の記憶が、本の芯になります。
この1枚を、誰に見てほしいと思いますか。
子ども、孫、もう会えない人など。名前が出たら、そのわけも聞きます。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手この写真は、どこで撮ったものですか。
語り手駅の前だね。集団就職で町を出る日に、兄さんが撮ってくれたの。
聞き手お兄さんが撮ってくれたんですね。カメラはお兄さんのものだったんですか。
語り手勤め先の人から借りてきたのよ。あの日のために、わざわざ。フィルムだって安くなかったのにね。
聞き手撮る前に、お兄さんから何か言われましたか。
語り手「泣くな、前を向け」って。それで顔がこわばってるの。本当は泣きそうだったから。
聞き手カメラの後ろには、ほかにどなたがいたんですか。
語り手母がいたはずなんだけど、見送りの間ずっと顔をそむけてた。写真には入らなかったの。
聞き手いまこの写真を見て、どんな気持ちになりますか。
語り手兄さんの声が聞こえる気がする。あのとき前を向けたのは、あの一言があったからだと思うね。
写真から聞いた話は、本の中で場面の入口になります。撮った人の一言、カメラの後ろにいた人、その日の朝と帰り道。写真そのものを本に載せれば、読む家族は同じ1枚を見ながら、写っていない景色まで受け取れます。聞いた言葉は言い換えず、語り手の口ぶりのまま書き留めておくと、その声まで本に残ります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「ひだまりの食卓から ―多摩川の風と、団地の花壇と、あなたへ―」(みっちゃん)
見本「雪あかりの教室から あなたの歩幅で咲けばいい」(ふみえ先生)