親に聞く質問|テーマで聞く
食卓と料理の話を聞く質問
おふくろの味、台所の匂い、ごちそうの日
味や匂いは、ふだん忘れていた記憶を呼び起こしやすい話題です。かまどの火加減、ちゃぶ台の座り方、正月に並んだ料理、初めて自分で作った一皿。食べものの話から入ると、台所に立っていた人の姿や、家族の決まりごと、その時代の暮らしぶりまで自然に語られます。ここでは、好きだった味から始めて、台所の景色、作ってくれた人とごちそうの日、自分の料理といまの思いへと進む順に質問を並べました。
一好きだった味から聞く
まずは好きなものや、よく出たおかずなど、答えやすい味の話から入ります。季節や土地の食べものも手がかりです。
子どものころ、いちばん好きだった食べもののことを聞かせてください。
出てこなければ「おやつ」「弁当のおかず」「冬の汁もの」など範囲をしぼって聞きます。
毎日のごはんで、よく食卓に出ていたおかずは何でしたか。
煮物、焼き魚、漬けもの、みそ汁の具など。繰り返し出た品から家の暮らしぶりが見えます。
苦手だった食べものはありますか。
残したときに何と言われたかまで聞けると、家の決まりや親の口ぐせが取れます。
おやつには、どんなものを食べていましたか。
ふかし芋、干し芋、かき餅、駄菓子屋のものなど。誰がくれたかも続けて聞きます。
学校のお昼ごはんは、どんなふうでしたか。
給食か弁当か。脱脂粉乳、コッペパン、アルマイトの弁当箱が手がかりになります。
季節がめぐってくると食べたくなるものを教えてください。
春の山菜、夏のすいか、秋の新米、冬の鍋など。季節の言葉は本の場面づくりに効きます。
思い出すと、匂いまでよみがえってくる料理はありますか。
匂いが出たら「どこで嗅いだ匂いですか」と場所につなげると、景色が広がります。
生まれ育った土地ならではの食べものについて聞かせてください。
土地での呼び名や、よその土地で驚かれた話が出やすい問いです。
二台所と食卓の景色
台所の造りや道具、食卓の座り方を聞いて、子どものころの食事の場面を目に浮かぶように引き出します。
子どものころの台所は、どんな様子でしたか。
土間、かまど、流し、井戸など。家のどのあたりにあったかから聞くと思い出しやすいです。
ごはんは何で炊いていましたか。
かまどと羽釜、ガス、電気釜など。火の番を誰がしていたかも一緒に聞けます。
家族が食卓を囲むときの座り方を教えてください。
ちゃぶ台か座卓か。座る場所の決まりから、家の中の順序が見えてきます。
食事どきには、どんな音が聞こえていましたか。
包丁の音、ラジオ、鍋のふたの音など。音は場面の手ざわりとして本に残ります。
台所で使われていた道具で、覚えているものを聞かせてください。
七輪、すり鉢、おひつ、蠅帳(虫よけの網戸棚)など。手ざわりや重さも聞きます。
食べものは、どうやって保存していましたか。
氷で冷やす冷蔵庫、ぬか床、軒下の干しもの、井戸水など。電気冷蔵庫が来た日の話にも。
食事のときの決まりごとについて聞かせてください。
「いただきます」の合図、黙って食べる、残さないなど。言われた言葉そのものを聞きます。
肉や魚、野菜は、どこで手に入れていましたか。
八百屋、魚屋、行商、自分の家の畑など。お使いに行った思い出につながることがあります。
三作ってくれた人とごちそうの日
料理を作っていた人の姿や言葉、特別な日の食卓を聞きます。作り手を決めつけず、まず誰だったかから尋ねます。
家でごはんを作っていたのは、誰でしたか。
母とは限りません。祖母、父、きょうだいなど、決めつけずに答えを待ちます。
その人が台所に立っている姿で、覚えている場面を聞かせてください。
割烹着、手ぬぐい、鼻歌、手つきなど。身なりや動きが出ると人物が立ち上がります。
その人の料理で、よその家とは違うと感じた味はありますか。
卵焼きの甘さ、みそ汁の具、漬けものの漬け方など。具体の味が「家の味」になります。
家でのごちそうの日といえば、いつでしたか。
正月、誕生日、祭り、運動会、来客など。そのとき何が並んだかを続けて聞きます。
初めて口にして驚いた食べものはありますか。
カレー、洋食、バナナ、即席めんなど。何歳ごろ、誰と食べたかで年代がはっきりします。
大勢で食卓を囲んだ日のことを教えてください。
法事、田植え、餅つき、親戚の集まりなど。誰がいて、自分は何を手伝ったかを聞きます。
食べものをめぐって、家族に言われて覚えている一言は何ですか。
ほめられた言葉でも叱られた言葉でもかまいません。台詞はそのまま本に使えます。
四自分の料理と、いまの味
自分で台所に立つようになってからの料理と、いま振り返って思う味を聞きます。次の世代に残したい話もここで。
初めて自分で作った料理のことを聞かせてください。
何歳ごろ、誰のために作ったか、うまくできたか。失敗した話も大事な材料です。
料理は、誰からどんなふうに覚えましたか。
親の横で見て、料理本、学校の授業、勤め先など。教わる人がいなかった場合もあります。
自分が台所に立つようになってから、よく作った料理は何ですか。
まわりに好評だったもの、忙しい日の定番など。食べてくれた人の顔も一緒に聞けます。
自分の得意料理の作り方を教えてください。
分量より「どのくらいで火を止めるか」など勘どころを聞くと、その人らしさが残ります。
台所の道具や電化製品で、暮らしが変わったと感じたものはありますか。
電気釜、ガスコンロ、電子レンジなど。手に入れた年ごろや、家族の反応も聞きます。
いま、もう一度食べてみたい味は何でしょうか。
作ってくれた人の味、今はない店の味など。理由まで聞くと、その人への思いが出てきます。
次の世代に伝えておきたい料理について聞かせてください。
作り方だけでなく、なぜ伝えたいかを聞きます。本の結びに置ける話になりやすい問いです。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手子どものころ、ごちそうの日といえばいつでしたか。
語り手やっぱり大みそかだね。年に一度、煮しめをたくさんこしらえて、お重に詰めるの。
聞き手その煮しめは、誰がこしらえていたんですか。
語り手おばあちゃん。朝から土間に大きな鍋を出してね、里芋とごぼうと昆布を順番に入れていくの。私はそばで昆布を結ぶ係だった。
聞き手昆布を結びながら、おばあちゃんに言われたことで覚えている言葉はありますか。
語り手「結び目がゆるいと、来年の縁もゆるむよ」って。だから一生懸命きつく結んだ。指がすっかり昆布の匂いになってね。
聞き手指に昆布の匂いが残っていたんですね。そのとき、どんな気持ちでしたか。
語り手一人前に扱ってもらえたのがうれしかったんだと思う。小学校に上がったころかな。
聞き手いま、ご自分で煮しめを作るときに、そのころを思い出すことはありますか。
語り手毎年思い出すよ。結び目だけは今でもきつくしてる。娘には「固すぎてほどけない」って言われるけどね。
食卓の話からは、家族の顔ぶれ、家の決まり、その時代の暮らしが一度に見えてきます。かまどの匂いや、台所で言われた一言は、自分史の中で章の始まりや場面の描写としてそのまま生きます。聞き取った料理の作り方を語り手の言い方のまま残せば、次の世代が同じ味をたどる手がかりにもなります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「多摩川の風と、みんなで囲んだ食卓」(みっちゃん)
見本「多摩川の風と、あったかい食卓 ― みっちゃんからあなたへ贈る物語」(みっちゃん)