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自分史とエンディングノートの違い。両方あるとよい理由

親にエンディングノートを書いてもらおうと思ったら、「それなら自分史も」と話が広がった。あるいは、自分史を作るつもりが、連絡先や通帳の話ばかりになってしまった。そんな経験をした家族もいると思います。エンディングノートと自分史は、どちらも本人のことを書き残すものですが、役割がまったく違います。この記事では、二つの違いを目的・読み手・中身の面から整理し、遺言書との関係にも触れたうえで、両方をそろえていく進め方を紹介します。

エンディングノートは「もしも」のメモ

エンディングノートは、病気やけが、亡くなったときなど、本人が自分で伝えられなくなったときに、家族が困らないように残しておくメモです。かかりつけの病院、連絡してほしい人、預金口座や契約しているもの、葬儀やお墓についての希望などを書いておきます。決まった書式はなく、市販のノートでも、手持ちのノートに書き出してもかまいません。

読み手は、いざというときに手続きや判断をする家族です。そのため、情報が正確で、どこに何があるかがすぐ分かることが大切になります。気持ちを書く欄があるノートも多いのですが、中心になるのは、家族が動くための実務的な情報です。内容が変わったら書き直し、置き場所を家族に伝えておきます。

  • 本人が伝えられなくなったときのためのメモ
  • 連絡先・口座・契約・希望などを書く
  • 読み手は手続きをする家族
  • 置き場所を家族に伝えておく

自分史は「生きてきた話」の記録

自分史は、本人がどこで生まれ、どんな子ども時代を過ごし、何を仕事にし、誰と出会って暮らしてきたかを残す記録です。中身は出来事だけではありません。そのとき何を思ったか、どんな言葉をかけられたか、何を大事にしてきたかといった、その人の考え方や人柄が伝わる話が中心になります。

読み手は家族だけでなく、孫やその先の世代、親しい友人にも広がります。いつ読まれてもよく、急いで使うものでもありません。たとえば、茂さんが若いころに勤めた町工場の話や、初めての給料で買ったものの話は、手続きには役に立ちませんが、読んだ孫にとっては祖父の姿が浮かぶ大切な手がかりになります。

  • 出来事と、そのときの思いを残す
  • 人柄や考え方が伝わる話が中心
  • 読み手は孫や先の世代にも広がる

目的・読み手・中身の違い

二つを並べると違いがはっきりします。エンディングノートの目的は、もしものときに家族が迷わず動けるようにすることです。自分史の目的は、その人がどう生きてきたかを残し、伝えることです。前者は情報を正確にそろえることが大事で、後者は話をその人らしい言葉で残すことが大事になります。

書くときの姿勢も変わります。エンディングノートは、項目を一つずつ埋めていく作業に近く、本人が一人で書き進めることもできます。自分史は、思い出を引き出してくれる聞き手がいると進みやすく、家族との会話そのものが材料になります。片方を書けばもう片方も済む、というものではないと考えておくと、混乱しません。

  • ノートは家族が動くため、自分史は伝えるため
  • ノートは正確さ、自分史はその人らしさが大事
  • ノートは一人でも書ける、自分史は聞き手がいると進む

遺言書とは別のものと知っておく

エンディングノートは書式が自由な反面、書いた内容に法的な効力はありません。「この家は長男に」と書いておいても、それだけで財産の分け方が決まるわけではありません。財産の分け方などを法的に有効な形で残したい場合は、エンディングノートとは別に遺言書を作る必要があります。

遺言書は、法律で決められた事柄について効力をもつもので、その効力が生じるのは本人が亡くなったあとです。どんな書き方が必要か、どの事柄が対象になるかは、専門家に相談して確かめてください。自分史も同じく法的な書類ではありません。気持ちや経緯を残すものと、法的に効力をもつものを分けて考えておくと、家族の間で行き違いが起きにくくなります。

  • エンディングノートの内容に法的な効力はない
  • 財産の分け方は遺言書を別に作る
  • 遺言書の効力が生じるのは亡くなったあと
  • 書き方は専門家に確かめる

両方を並べて進める方法

おすすめは、エンディングノートを先に一通り埋め、自分史はゆっくり続ける進め方です。ノートは期限を決めて項目をそろえ、終わったら家族で置き場所を確かめます。実務の心配が片づくと、本人も家族も気持ちに余裕ができ、昔の話を楽しむ時間がとりやすくなります。

ノートを書いている途中で、思い出話が出てくることがあります。「この通帳は、最初に勤めた会社で作ったのよ」といった一言です。そうした話はノートに書き込むのではなく、別の紙に書き留めて自分史の材料にします。二つを分けて置きながら、片方の作業がもう片方のきっかけになるようにすると、無理なく両方がそろっていきます。

  • ノートは期限を決めて先に埋める
  • 自分史は急がずに続ける
  • 途中で出た思い出話は別の紙に書き留める

よくある質問

エンディングノートに思い出話を書き込んでもよいですか。

書き込んでもかまいません。ただ、いざというときに家族が必要な情報を探しにくくなることがあります。手続きに関わる情報と思い出話は分けて置き、思い出話は自分史の材料としてまとめておくほうが、どちらも使いやすくなります。

自分史に財産のことや希望を書いておけば、遺言の代わりになりますか。

代わりにはなりません。自分史もエンディングノートも法的な書類ではないため、財産の分け方などを法的に有効に残したい場合は、遺言書を別に作る必要があります。必要な書き方は専門家に相談して確かめてください。

親にエンディングノートの話を切り出しにくいのですが、どうすればよいですか。

いきなり手続きの話をするより、昔の話を聞く時間をつくり、その流れで「大事な連絡先だけはまとめておこうか」と添えるほうが話しやすいことがあります。自分史の聞き取りが、ノートを書くきっかけになることもあります。

エンディングノートは、もしものときに家族が迷わないための実務のメモで、自分史は、その人がどう生きてきたかを伝える記録です。法的な効力が必要なことは遺言書に任せ、二つはそれぞれの役割で使い分けます。ノートで心配ごとを片づけ、自分史で話を残す。両方がそろうと、家族が受け取れるものが増えていきます。

この記事の年や制度の記述は、公開されている解説で確かめたものです。法律や医療の判断が要るときは、専門家にご相談ください。

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