親に聞く質問|テーマで聞く
口癖・教え・大事にしてきたことを聞く質問
親の親から受け継いだ言葉、自分の言葉
口癖や教えは、本人にとっては当たり前すぎて、改まって聞かないと出てきません。けれど「もったいない」「人さまに迷惑をかけるな」といった短い一言の裏には、それを言われた台所や田畑の場面、言った人の顔、守れなかった日の記憶が重なっています。ここでは、ふだんの口癖から入り、その言葉が出た場面、受け継いだ人と出来事、いま若い人に渡したい言葉へと順に聞いていきます。最後に聞いた一言は、本の締めくくりになります。
一ふだんの口癖から入る
まずは家族がよく耳にしてきた口癖から始めます。本人も答えやすく、話の入口になります。
ご自分でよく口にしている言葉があれば、聞かせてください。
思い浮かばないときは「もったいない」「まあ、なんとかなる」など、家族が覚えている例を出す。
家族から「またそれ言ってる」と言われる言葉は、どんなものですか。
子や孫が先に挙げると話しやすい。言われたときの本人の反応も拾っておく。
食卓や台所で、よく言っていた決まり文句はありますか。
食べる前、ご飯を残したとき、こぼしたときなど、場面を挙げると思い出しやすい。
子どもを送り出すとき、毎朝のように言っていた一言はどんなものでしたか。
「車に気をつけて」「忘れ物は」など。子が学校に通う時期と働き出した後で変わったかも聞く。
叱るとき、決まって出てくる言葉はありましたか。
声の大きさや言い方も聞くと場面が立つ。言われた子ども側の記憶と照らし合わせてもよい。
迷ったときや困ったとき、自分に言い聞かせてきた言葉を教えてください。
声に出さない独り言でもよい。「腹をくくる」「一晩寝て考える」などを例に出す。
その口癖は、いつごろから言うようになりましたか。
子育て中、勤め始め、結婚後など時期の選択肢を出す。年齢の目安が取れると本に効く。
方言やお国言葉で、つい出てしまう言い回しはありますか。
意味も一緒に聞いておく。読む人にわかるよう、標準語での言い換えを本人の言葉で取る。
二その言葉が出た場面
口癖や教えが実際に使われた場面に入ります。いつ、どこで、誰がいたかを、景色や音とともに聞きます。
その言葉を言われた場面で、いちばん覚えているのはどこでのことですか。
台所、田畑、店先、縁側、職場など。場所が決まると、季節や時刻も聞きやすくなる。
そのとき、まわりには誰がいましたか。
兄弟、近所の人、同僚など。呼び名で答えてもらうと、本の中で人物が立つ。
その場面は、どんな季節のことでしたか。
季節が出たら、着ていたもの、こたつや扇風機、ちゃぶ台など部屋の様子へ広げる。
その場面で、聞こえていた音や漂っていた匂いで覚えているものはありますか。
煮物の匂い、ラジオ、機械の音、雨音など。五感の記憶が出ると文章に厚みが出る。
言われたとき、自分はいくつぐらいで、何をしていたところでしたか。
小学生のころ、勤めに出たころ、嫁いだばかりなど。年齢の目安が取れると年表に入れられる。
ご自分がその言葉を子に向けて言った場面は、どんなふうでしたか。
受け継いだ言葉を自分も使ったかを確かめる。言った相手と、そのときの子の様子を聞く。
その言葉を思い出して、踏みとどまったり背中を押されたりした出来事を聞かせてください。
仕事、引っ越し、家族の節目など大きな出来事に限らない。日常の小さな場面でもよい。
言われた言葉に反発した場面があれば、そのときのことを教えてください。
守れなかった話、納得できなかった話も本には大事。評価せずに、そのまま聞く。
三受け継いだ人と出来事
その言葉を誰から受け取ったのか、言った人はどんな人だったのかを聞きます。呼び名や台詞をそのまま残します。
親から言われた一言で、いまも耳に残っているものを、そのままの言葉で聞かせてください。
言い回しや方言もそのまま書き留める。台詞のまま残すと、本の中で声が聞こえる。
育ててくれた人それぞれの口癖で、覚えているものはありますか。
父と母で違ったか、片方しか覚えていないか。親以外に育てられた場合は、その人の言葉を聞く。
祖父母や親戚から聞いた言葉で、心に残っているのはどんなものですか。
盆や正月に集まったときの話、昔の暮らしの教えなど。親の親から続く言葉が取れる。
親以外で、生き方に影響した一言をくれた人のことを教えてください。
先生、職場の上司や親方、近所の人、友人など。呼び名と出会った時期も聞いておく。
その言葉を言った人は、ふだんどんな人でしたか。
口数が多い、無口、厳しい、冗談好きなど選択肢を出す。決めつけずに本人の言葉で聞く。
その人自身は、その言葉をどこで身につけたのだと思いますか。
戦中戦後の暮らし、疎開、奉公、商売の苦労など、言った人の歩みから来ていることが多い。
家の中で決まっていた約束ごとや、しつけで覚えていることはありますか。
食事の作法、挨拶、門限、手伝いの分担など。言葉にならない教えも拾える。
四いま振り返って、伝えたい言葉
受け取った言葉が自分の中でどう変わったか、いま若い人に何を手渡したいかを聞きます。本の締めくくりになる話です。
言われた当時といまとで、その言葉の受け止め方は変わりましたか。
当時は煩わしかった、いまならわかる、など。変わらない場合も、そのまま書き留める。
ずっと大事にしてきたことを一つ挙げるとしたら、何ですか。
言葉にならなければ「これだけは曲げなかった」ことを、出来事と一緒に聞く。
自分の子に、いちばん伝わっていてほしいと思う言葉はどれですか。
子世代の聞き役は、自分が覚えている口癖を伝え返すと、話が深まる。
孫やその先の世代に、言っておきたいことを聞かせてください。
仕事、人づきあい、体を大事にすることなど。宛先を一人に決めると具体的になる。
ご自分が受け継がなかった言葉や、あえて子に言わなかった教えはありますか。
時代に合わないと思ったものなど。なぜやめたかに、本人の生き方が出る。
若いころの自分に一言かけるとしたら、どんな言葉になりますか。
二十歳前後、結婚したころなど時期を決める。照れて答えにくければ、笑い話でもよい。
本の最後に一言だけ残すとしたら、どんな言葉にしますか。
急がず、日をあらためて聞いてもよい。言い直しも含めて、本人の言葉のまま書き留める。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手お母さん、よく「ご飯粒ひとつ残さない」って言ってたよね。あれは、いつごろから言うようになったの。
語り手あれはね、私の母が言ってたの。家が農家で、お米は全部自分で作ってたから。茶碗に一粒でも残すと、母が黙って箸でつまんで食べちゃうのよ。
聞き手黙って食べちゃうんだ。そのとき、おばあちゃんは何か言ってたの。
語り手「お百姓さんの汗だよ」って、それだけ。怒鳴ったりはしない人だった。冬の朝でね、かまどの煙で台所が白くなってたのを覚えてる。
聞き手その「お百姓さんの汗だよ」を、いま思い出すと、どんな気持ちになる。
語り手あのころは、うるさいなと思ってた。でも自分が台所に立つようになって、気づいたら同じことを子どもに言ってたのね。母の声がそのまま出てくるの。
口癖や教えは、自分史のどの章にも少しずつ顔を出す言葉です。子ども時代の台所、働きはじめたころ、子育ての日々に同じ一言が繰り返し出てくると、読む人はその人の芯を感じ取ります。最後に聞いた「伝えたい言葉」は、本の結びとして、次の世代へ宛てた手紙になります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「できたことを、先に数えて――雪国から教室へ、あなたへ贈る言葉」(ふみえ先生)
見本「寸法は嘘をつかない――鉄と油にまみれて歩んだ道」(茂さん)