親に聞く質問|時代で聞く
いまとこれからの話を聞く質問
いまの楽しみ、やり残したこと、伝えたいこと
昔の話を聞いたあとに、いまとこれからの話を聞くと、一冊の本に終わりの景色が生まれます。毎日の楽しみ、窓から聞こえる音、行ってみたい場所、もう一度会いたい人、そして子どもや孫へのひとこと。過去の話より気軽に答えられる人も多く、思い出話の入り口にもなります。ここで出てきた言葉は、あとがきとしてそのまま本の最後に置けます。語り手の言い回しを変えずに残すのがこつです。
一いまの毎日と小さな楽しみ
まずは、きょうやきのうの話から入ります。答えやすい暮らしの話が、あとがきの書き出しになります。
朝起きてから、最初にすることは何ですか。
「お茶をいれる」「仏壇に手を合わせる」「新聞を取りに行く」など、習慣の順番まで聞くと場面になります。
このごろ、一日のうちでいちばん好きな時間はいつですか。
朝・昼下がり・夕方・寝る前から選んでもらい、そのとき何をしているかを続けて聞きます。
いま楽しみにしていることを聞かせてください。
大きなことでなくてかまいません。孫の来る日、好きな番組、季節の果物など小さなものも拾います。
最近よく作る料理や、好んで食べるものはどんなものでしょう。
若いころから変わらない味か、最近覚えた味かを分けて聞くと、時代の移り変わりが見えます。
時間を忘れて手を動かしているのは、どんなときですか。
畑、編み物、書道、将棋、写真、ラジオ体操など。道具の名前や続けている年数も聞きます。
最近、思わず笑ったできごとを教えてください。
誰といたか、何と言われたかまで聞くと、そのまま本の一場面になります。
若いころは興味がなかったのに、いまは好きになったものは何ですか。
花の名前、演歌、散歩、昼寝など。きっかけになった出来事も一緒に聞きます。
よく手に取る本や、よく聴くラジオ、よく見るテレビの番組はどんなものですか。
番組名は呼び名でかまいません。どこが気に入っているかを一言もらいます。
二いまの暮らしの景色
いまの暮らしを、季節や音、身の回りの品で描きます。年月がたって読み返すと、こうした景色が懐かしくなります。
いまの住まいで、気に入っている場所はどこですか。
窓辺、縁側、台所の椅子など。そこから何が見えるか、いつ座るかを続けて聞きます。
窓の外から聞こえてくるのは、どんな音でしょう。
学校のチャイム、電車、鳥の声、近所の話し声など。昔住んだ家の音と比べてもらうのも手です。
毎年この季節になると、決まってすることを聞かせてください。
梅干しを漬ける、衣替え、墓参り、こたつを出すなど。いつからの習慣かも聞きます。
ふだんよく歩く道や、よく行く場所の様子を教えてください。
スーパー、公園、図書館、集会所など。道すがら誰とあいさつを交わすかまで聞くと人が見えます。
長く使い続けている道具や身の回りの品には、どんなものがありますか。
鍋、包丁、ミシン、そろばん、腕時計など。手に入れたいきさつと、いまの手ざわりを聞きます。
昔の暮らしと比べて、いちばん変わったと感じるのはどんなところですか。
白黒テレビや銭湯、井戸のころとの比べ方が手がかりです。良し悪しは決めずに聞きます。
一日の終わり、寝る前はどんなふうに過ごしていますか。
日記、晩酌、仏壇、ラジオなど。その時間に何を思い浮かべるかも静かに聞きます。
三会いたい人、やりたいこと
行きたい場所、会いたい人、もう一度やってみたいこと。地名や呼び名が出ると、本の中で生きた予定になります。
これから行ってみたい場所はどこですか。
生まれた町、旅行で訪ねた土地、まだ見ていない場所など。なぜそこなのかを続けて聞きます。
もう一度会いたい人のことを聞かせてください。
同級生、昔の同僚、恩師、近所の人など。呼び名と、最後に会ったときの様子を聞きます。
若いころにやりかけて、そのままになっていることは何でしょう。
習いごと、資格、楽器、書きかけの手紙など。やめたいきさつは無理に聞かず、話すのを待ちます。
いまから新しく覚えてみたいことを教えてください。
料理、外国のことば、写真、俳句など。「ない」と言われたら、人がやっていて気になることを聞きます。
いま、よく会ったり話したりするのはどんな人ですか。
家族、友人、近所、通いの場の仲間など。呼び名と、どんな話をすることが多いかを聞きます。
この先も続けていきたい習慣や役目は何ですか。
町内会の当番、墓守、畑、孫の送り迎えなど。誰から引き継いだものかがわかると家の歴史になります。
家族といっしょにやってみたいことを聞かせてください。
旅行、昔の料理を教える、写真の整理など。誰と、どこで、までふくらませると具体になります。
振り返って、やっておけばよかったと思うのはどんなことですか。
答えを評価せず、まず受け止めます。いつごろ、誰と、が出ると本の中で場面になります。
四伝えたいこと、いまの気持ち
本のあとがきになる部分です。聞かせたい相手を一人ずつ思い浮かべてもらい、そのままの言葉で残します。
これまでを振り返って、いまどんな気持ちでいますか。
一言で返ってきたら「どの時期を思い出しましたか」と聞き直すと話が広がります。
生きてきた中で大事にしてきた考えや、口ぐせを教えてください。
「人さまに迷惑をかけない」「まあ、なんとかなる」など。誰から受け取った言葉かも聞きます。
子どもや孫に伝えておきたいことは何ですか。
一人ずつ名前を挙げて聞くと、言葉が具体になります。話しにくそうなら日を改めます。
ありがとうと伝えたい相手と、そのわけを聞かせてください。
家族に限らず、恩人や近所の人も。語り手の言い回しをそのまま書き留めます。
若いころの自分に声をかけるとしたら、何と言いますか。
年齢を決めて聞くと答えやすくなります。二十歳のころ、家を出たころ、働き始めたころなど。
この本を読む人に、どんなふうに読んでほしいでしょう。
「笑って読んでほしい」「困ったときに開いてほしい」など。あとがきの結びの一文になります。
最後に、いまいちばん言っておきたいことは何ですか。
改まらず、いつもの口調のまま話してもらいます。言いよどんだ間も含めて、そのまま残します。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手このごろ、楽しみにしていることを聞かせてください。
語り手そうねえ、朝顔かしら。ベランダで毎年育てているの。
聞き手毎年なんですね。いつごろから育てているんですか。
語り手子どもが小学生のとき、夏休みの宿題で持って帰ってきたのが始まり。その種をずっと取っておいて、もう四十年くらいになるかしら。
聞き手四十年、同じ朝顔の種なんですね。咲いた朝は、どんなふうに過ごしていますか。
語り手起きたらまず数えるの。きょうは七つ、きょうは十二って、カレンダーに書いてね。
聞き手カレンダーに。その数を見ながら、何を思うんですか。
語り手夏が来たなあ、って。あの子が汗だくで鉢を抱えて帰ってきた顔を思い出すのよ。
聞き手その朝顔を、これからはどうしていきたいですか。
語り手種を孫に渡したいの。みっちゃんにね。
聞き手みっちゃんに渡すとき、どんなひとことを添えたいですか。
語り手「毎朝数えてごらん、夏がちゃんと来てるのがわかるから」って。それだけで十分。
いまの楽しみや、これからやりたいことの話は、本の最後に置くと、それまでの昔話が今日までつながっていたことを読む人に伝えます。家族へのひとことは、語り手の口調のまま、あとがきの結びになります。何年かたって読み返したとき、この章がいちばん語り手の声が聞こえるページになります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。話しはじめる画面の「今日のテーマ」で「いまとこれから」を選ぶと、この話題から聞きます。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「できたことを、先に数えて――雪国から教室へ、あなたへ贈る言葉」(ふみえ先生)
見本「寸法は嘘をつかない――鉄と油にまみれて歩んだ道」(茂さん)