親に聞く質問|テーマで聞く
祖父母の話を聞く質問
親の親のことを、親に聞く
語り手の父母や祖父母は、聞き役から見れば祖父母や曽祖父母にあたります。多くは写真でしか知らない人です。その人たちの顔つき、働く姿、口癖、叱り方を覚えているのは、いまの語り手が最後かもしれません。親の話を聞くと、語り手自身の育ち方や大事にしてきたことも自然に出てきます。ここでは呼び名や見た目から入り、家の景色、仕事と出来事、見送ったときのこと、受け継いだものへと順に聞いていきます。
一呼び名と顔立ちから
まずは名前や見た目など、答えやすいところから入ります。会ったことのない人の輪郭をここでつかみます。
お父さんとお母さんを、子どものころ何と呼んでいましたか。
「父ちゃん」「おっかさん」など。呼び名はそのまま本の地の文に使えます。
お父さんの顔立ちや背格好を、思い浮かぶままに聞かせてください。
背の高さ、眉、手の大きさ。写真を一緒に見ると言葉が出やすくなります。
お母さんは、どんな身なりで家の中にいることが多かったですか。
割烹着、もんぺ、着物、髪型。着ていたものから一日の様子が見えてきます。
おじいさん、おばあさんのことは、どのくらい覚えていますか。
会ったことがなければ「親から聞いた話」で十分です。そう前置きして続けます。
祖父母の家はどのあたりにあって、どうやって行きましたか。
汽車、バス、歩き、峠越え。場所は町や村の名前までで足ります。
家族の中で、あなたは誰に似ていると言われてきましたか。
顔、声、性格、手先の器用さ。そう言った人の名前も聞いておきます。
両親の名前の由来を、聞いたことはありますか。
「生まれた季節から」「祖父がつけた」など。知らなければ次へ進みます。
両親は、いつごろ、どの土地で生まれた人でしたか。
日付は不要です。「明治の終わり」「大正の生まれ」くらいで年表が組めます。
二家の中の景色
親がいた場面に入ります。季節や音、匂い、誰がどこにいたかを聞くと、文章に手ざわりが出ます。
子どものころの家の朝は、どんなふうに始まりましたか。
かまどの火、井戸、ラジオ、ご飯の匂い。誰が最初に起きたかも聞きます。
夕飯のとき、家族はそれぞれどこに座っていましたか。
ちゃぶ台、囲炉裏、上座。父親の席が決まっていたかで家の空気がわかります。
お父さんが家で過ごしているときの姿を聞かせてください。
晩酌、新聞、たばこ、ラジオ。「家にいなかった」という答えも大事な記録です。
お母さんの手料理で、いまも思い出すものはありますか。
煮物、漬物、おはぎ、すいとん。味だけでなく作っている後ろ姿も聞きます。
祖父母の家に行くと、どんな匂いや音がしましたか。
線香、畳、牛や鶏、柱時計の音。場面の手ざわりが一気に増える質問です。
お正月やお盆に親戚が集まった日のことを教えてください。
誰が来て、何を食べ、子どもは何をしていたか。親の兄弟の名前も出やすい場面です。
両親が二人で何かをしている場面で、覚えているものはどれですか。
畑仕事、店番、夫婦げんか、並んで歩く姿。仲のよし悪しは決めつけずに聞きます。
三仕事と口癖と出来事
親がどう働き、何を言い、どう叱ったか。人柄が伝わる台詞と出来事を、ここで具体的に集めます。
お父さんは、どんな仕事をしていましたか。
職業名で終わったら「朝は何時に家を出ましたか」と一日の流れを聞きます。
お母さんは、家の内や外でどんな仕事を受け持っていましたか。
内職、農作業、店の帳場、子守、親の世話。名前のない仕事も仕事として聞きます。
両親の口癖で、いまも耳に残っている言葉はありますか。
方言のまま書き留めます。台詞は本の中でいちばん人柄が伝わる部分です。
叱られたときのことで、よく覚えている出来事を聞かせてください。
何をして、誰に、どう叱られたか。笑い話かつらい話かは語り手に任せます。
反対に、認められたと感じた場面はありましたか。
言葉がなくても構いません。黙って好物を残してくれた、などの形もあります。
戦争のころや戦後の暮らしについて、親から聞いた話はありますか。
出征、疎開、配給、引き揚げ。話したがらなかったなら、その様子も記録になります。
祖父母はどんな人だったと、親から聞かされていましたか。
「厳しい人」と出たら、そう言われる理由になった出来事を一つ聞きます。
困ったことがあると、両親のどちらに話を持っていきましたか。
進学、友だちとのこと、きょうだいげんか。どちらでもなければ誰だったかを聞きます。
四見送りと、いま思うこと
別れのときと、いま振り返っての気持ちを聞きます。急がず、語り手が話せる範囲にとどめます。
お父さんと最後に交わした言葉を覚えていますか。
覚えていなければ、最後に会った日の季節や場所から聞きます。無理に思い出させません。
お母さんを見送ったころのことを、話せる範囲で聞かせてください。
病気の詳しい話は不要です。誰がそばにいたか、どんな季節だったかで十分です。
祖父母の最期について、聞いていることや覚えていることはありますか。
子どものころなら「葬式の日の家の様子」から入ると話しやすくなります。
自分が親になってから、両親の見え方はどう変わりましたか。
「あのときの父の気持ちがわかった」と出たら、どの場面か聞き返します。
両親から受け継いだと感じるものは何ですか。
口癖、味付け、仕事の段取り、形見の品。物でも習慣でも構いません。
いま両親に一つ聞けるとしたら、何を聞きたいですか。
迷ったら「聞きそびれたこと」と言い換えます。本の結びに使える問いです。
孫やひ孫には、両親のことをどんな人だったと伝えたいですか。
聞き役にとっては会ったことのない人です。一言で表すならどうかと聞きます。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手お父さんのお父さん、おじいちゃんのことを聞かせて。子どものころ、何て呼んでたの。
語り手「とうちゃん」だね。無口な人で、家にいてもほとんどしゃべらなかった。
聞き手ほとんどしゃべらなかった。それでも覚えている一言はある?
語り手一つだけあるよ。中学のとき、隣の家の柿を取って怒鳴り込まれてね。とうちゃんは私の手を引いて謝りに行って、帰り道に「腹が減ってたんならそう言え」って。
聞き手「腹が減ってたんならそう言え」。その帰り道は、どんな道だったの。
語り手田んぼの中の一本道。夕方で、カエルが鳴いてた。とうちゃんの手がごつごつしていて、土の匂いがしたのを覚えてる。
聞き手そのとき、どんな気持ちだった?
語り手殴られると思ってたから、拍子抜けした。それと、恥ずかしかったね。うちが貧しいのを、とうちゃんはわかってたんだと思う。
聞き手いま振り返ると、その一言はどう聞こえる?
語り手自分が親になって、あんたにも同じことを言ったことがあるの。気がついたら、とうちゃんと同じ言い方をしてたんだね。
親から聞いた祖父母の話は、本の中で語り手の生い立ちを支える土台になります。口癖や叱られた場面がそのまま書けると、会ったことのない人にも声と顔が戻ります。聞き役にとっては、自分につながる人の名前と暮らしを、次の世代へ手渡す記録にもなります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「できたことを、先に数えて――雪国から教室へ、あなたへ贈る言葉」(ふみえ先生)
見本「多摩川の風と、みんなで囲んだ食卓」(みっちゃん)