親に聞く質問|テーマで聞く
病気・けが・看取りの話を聞く質問
デリケートな話を、本人に委ねて聞く
病気やけが、家族を見送った経験には、その人の生き方や人との結びつきがよく表れます。一方で、思い出すこと自体がつらい場合もあります。このページの質問は、子どものころの手当ての思い出から入り、入院や療養の場面、支えてくれた人や見送った人、そしていま思うことへと進みます。病名や治療の細部は聞きません。どこまで話すかは本人が決める、という約束を先に交わしてから始めます。
一からだと手当ての思い出
子どものころの熱やけが、家での手当てなど、答えやすい話から入ります。話す調子をここでつかみます。
子どものころ、熱を出したときに家でしてもらった手当てのことを聞かせてください。
手がかり: 氷枕、おかゆ、すりおろしたりんご、置き薬など。誰がしてくれたかも聞けます。
子どものころのけがで、いまも覚えているのはどんなことですか。
木登り、自転車、川遊びなど。傷あとが残っていれば、そこから話が始まります。
家の近くのお医者さんは、どんなところでしたか。
往診の有無、待合室の様子、薬の匂い、先生の呼び名など。場面が浮かびやすくなります。
具合が悪いときに世話をしてくれた家族のことを教えてください。
母、祖母、きょうだいなど。「熱を測ってくれた人」と言い換えると答えやすくなります。
元気が出ないとき、決まって口にしたものは何ですか。
卵酒、くず湯、生姜湯、梅干しなど。家ごとの習わしが出てくると本に効きます。
若いころ、体のことで自信があった点を聞かせてください。
「風邪をひかなかった」「足が速かった」など。元気な姿を先に聞くと話しやすくなります。
働き盛りのころ、体の調子とはどんなふうに付き合っていましたか。
仕事や子育てで忙しかった年代を聞くと、いつの話かが本に書きやすくなります。
体のことで大きな出来事があったとしたら、それはいつごろのことでしたか。
年代や年齢だけで十分です。答えたくない様子なら、次の小見出しは飛ばします。
二入院や療養のころの景色
病名ではなく、そのときの季節や景色、音を聞きます。細部は本人が話す分だけで十分です。
そのことがあったのは、どんな季節でしたか。
窓の外の景色や寒さ暑さを手がかりに。季節が決まると場面が書けます。
入院していた部屋や、療養していた場所の様子を聞かせてください。
大部屋か個室か、窓から見えたもの、隣の人。家で休んだ場合はその部屋のこと。
その場所で、いまも耳に残っている音や声はどんなものですか。
足音、配膳の音、ラジオ、外を走る電車など。音から記憶がほどけることがあります。
一日をどんなふうに過ごしていましたか。
朝起きてから夜までを順に聞くと話が続きます。本、手紙、テレビ、編みものなど。
お見舞いの品で、覚えているものを教えてください。
果物の籠、花、雑誌、手紙など。誰が持ってきたかも一緒に聞けると本に効きます。
家に戻った日、あるいは日常に戻った日のことを聞かせてください。
最初にしたこと、食べたもの、迎えてくれた人。区切りの場面として章に残せます。
その間、家のことや仕事はどうなっていましたか。
誰が代わりを務めてくれたかを聞きます。お金の話には入らず、人の動きだけを。
三支えてくれた人、見送った人
支えてくれた人、看病した相手、見送った家族のことを聞きます。呼び名や言われた一言が本の柱になります。
大変なとき、そばにいてくれた人のことを聞かせてください。
家族、近所の人、職場の仲間、看護婦さんなど。呼び名で答えてもらって構いません。
その人から言われた言葉で、いまも残っているのはどんな一言ですか。
正確でなくて大丈夫です。「こんなことを言われた」で十分、台詞として書けます。
誰かを看病したことがあれば、そのころの暮らしぶりを教えてください。
親、配偶者、子どもなど。「誰を」は本人が言うまで待ち、こちらから挙げません。
看病の合間に、ひと息つけた時間はどんなものでしたか。
お茶を飲む、外を歩く、誰かと話すなど。小さな習慣から人柄が見えてきます。
見送った方のことで、語っておきたい人がいれば、その人のことを聞かせてください。
一人に絞らなくて構いません。続柄、呼び名、どんな人だったかから始めます。
その方と最後のころに一緒に過ごした場面は、どんなふうでしたか。
話がつらそうなら、元気だったころの姿に話を戻します。無理に最期まで聞きません。
お葬式や法事で、印象に残っていることを聞かせてください。
集まった人、季節、出された料理、土地の習わしなど。費用のことには触れません。
その方の好きだったものや口ぐせは何でしたか。
好物、よく歌った歌、決まって言っていた言葉。本の中でその人が立ち上がります。
四いま振り返って思うこと
そのときの気持ちと、いま振り返っての思いを聞きます。答えが出なくても、沈黙ごと受け止めます。
そのころ、いちばん気がかりだったのはどんなことでしたか。
家族のこと、仕事のこと、先のことなど。選択肢を出して選んでもらうと答えやすくなります。
つらいときに心の支えになっていたものを教えてください。
人、言葉、歌、祈り、窓から見えた木など。人以外のものが挙がることもあります。
その経験のあとで、暮らし方や考え方に変わったところがあれば聞かせてください。
「特にない」も大事な答えです。食事、早寝、人との付き合い方など。
支えてくれた人に、いま伝えるとしたら、どんな言葉になりますか。
本の中で手紙のように載せられます。照れるようなら紙に書いてもらう方法もあります。
見送った方を思い出すのは、どんなときですか。
季節、匂い、行事、よく通った道など。思い出すきっかけに、その人の居場所が見えます。
いまのご自分の体とは、どんなふうに付き合っていますか。
散歩、食事、趣味など日々の工夫を聞きます。通院先や病名には入りません。
同じような経験をしている家族や若い人に、伝えたいことがあれば聞かせてください。
「何もない」でも構いません。経験から出た短い一言が、章の締めになります。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手お父さんが入院していたころの話を、少し聞いてもいいですか。話したくないところは「次」と言ってくれれば飛ばします。
語り手いいよ、もう昔のことだから。お父さんが入院したのは夏の終わりでね、毎日バスで病院に通ったの。
聞き手毎日バスで。そのバスの中では、どんなことを考えていましたか。
語り手何も考えないようにしてた。窓の外の田んぼばっかり見てたね。稲が黄色くなっていくのを見て、ああ秋になるなって。
聞き手田んぼが色づいていくのを見ていたんですね。病室に着くと、お父さんはどんなふうに迎えてくれましたか。
語り手「また来たのか、家のことはいいから」って毎回言うの。そのくせ、私が遅いと看護婦さんに時間を聞いてたらしいのよ。
聞き手「家のことはいいから」。その言葉を聞いたとき、どんな気持ちでしたか。
語り手正直、腹が立ったね。こっちは心配で来てるのにって。でもいまは、あれがあの人なりのお礼だったんだと思う。
聞き手いまはお礼に聞こえるんですね。あのころ支えてくれたほかの人のことも、聞かせてもらえますか。今日はここまでにしても大丈夫です。
語り手隣のみっちゃんがね、子どもたちの夕飯を何度も作ってくれたの。その話はまた今度、ゆっくりするよ。
病気やけが、見送りの話は、本の中でその人の芯が見える章になります。病名や経過が書かれていなくても、季節の景色や見舞いの品、支えてくれた人のひと言があれば、読む家族にはそのときの様子が十分に伝わります。話さなかった部分も含めて、本人が選んだ語りとしてそのまま残します。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「多摩川の風と、あったかい食卓 ― みっちゃんからあなたへ贈る物語」(みっちゃん)
見本「できたことを、先に数えて――雪国から教室へ、あなたへ贈る言葉」(ふみえ先生)