親に聞く質問|テーマで聞く
戦争・疎開・戦後の暮らしを聞く質問
昭和ひと桁〜20年代生まれの方に、無理なく
戦争の時代を子どもとして、あるいは若者として生きた方の話は、家族のなかでも聞く機会が少ないまま過ぎがちです。このページでは、住んでいた町や食卓の話から入り、空襲や疎開のころ、終戦の日、配給や学校、仕事が戻っていく戦後の暮らしへと進みます。つらい場面は本人が話したい範囲にとどめ、暮らしを立て直していった日々の工夫や、支えてくれた人の話を多めに聞けるようにしました。
一あのころの町と家
戦争の話に入る前に、住んでいた町や家、毎日の食卓から聞きます。答えやすい話から記憶がほどけていきます。
子どものころ住んでいた町は、どんなところでしたか。
町なか、農村、港町、田畑の多い土地など。地名は町や村の名前くらいで十分です。
一緒に暮らしていた家族の顔ぶれを教えてください。
祖父母、きょうだい、親戚など。呼び名を聞いておくと、後の話に出たときにつながります。
そのころの家は、どんなつくりでしたか。
土間、かまど、井戸、縁側、ちゃぶ台など。寝ていた部屋の様子から入るのも手です。
ふだんの食卓によく並んだものは何ですか。
麦ごはん、さつまいも、すいとん、雑炊など。誰が作っていたかも添えて聞きます。
通っていた学校で覚えていることを話してください。
国民学校、朝礼、校庭、通学路など。先生の呼び名が出ると場面が立ちます。
友だちとは、どんな遊びをしていましたか。
めんこ、おはじき、縄跳び、川遊びなど。一緒に遊んだ子の呼び名も聞いてみます。
お父さんやお母さんの毎日の仕事ぶりを、覚えている範囲で教えてください。
仕事の中身や家にいた時間帯など。父が出征していた家も多いので、流れに任せます。
二空襲と疎開のころ
戦時中の暮らしの場面を聞きます。つらい話になりそうなら、場所や季節、持ち物の話にとどめて構いません。
戦争が暮らしに入ってきたと感じたのは、どんなことからでしたか。
灯火管制、防空頭巾、防空壕づくり、出征の見送りなど。本人の言葉で区切りが分かります。
いつも身近に置いていた持ち物のことを教えてください。
防空頭巾、名札、非常袋など。誰が縫ってくれたかが出ると、人の話につながります。
空襲警報が鳴ったとき、どこへ身を寄せていましたか。
防空壕、押し入れ、近くの山や寺など。話しにくそうなら場所だけ聞いて次へ進みます。
疎開をしたかどうか、そのころの事情を聞かせてください。
学童疎開、縁故疎開(親戚を頼る疎開)、疎開しなかった家も。どの答えもそのまま受け止めます。
疎開先や身を寄せた先は、どんな土地でしたか。
山あいの村、寺、親戚の家など。疎開していなければ、町に残った暮らしを聞きます。
疎開先や町で、よく面倒を見てくれた人のことを話してください。
おばさん、寺の住職、農家の人など。呼び名と、言われた一言が残っていれば書き留めます。
家族と離れていたあいだ、便りのやりとりはどんなふうでしたか。
はがき、面会、親が届けてくれた食べものなど。離れていなかった場合は飛ばします。
戦時中の季節のなかで、いまも浮かぶ景色を聞かせてください。
夏の田んぼ、冬の寒さ、灯りを消した夜の町など。出来事より景色そのものを聞きます。
三終戦と暮らしの立て直し
終戦の日から、食べもの、学校、仕事がどう戻っていったかを聞きます。人の名前や言われた一言が出やすい話です。
戦争が終わったと知った日のことを聞かせてください。
玉音放送(昭和20年8月15日のラジオ)、天気、居た場所など。人から聞いた話でも構いません。
終戦のあと、まわりの大人たちはどんな様子でしたか。
黙っていた、泣いていた、普段どおりだったなど。残っている一言があれば、そのまま聞き取ります。
配給の品を受け取りに行ったときのことを話してください。
米、芋、砂糖、配給の通帳、並んだ場所など。家で誰が行く役だったかも添えて。
食べものが足りないとき、家ではどんな工夫をしていましたか。
買い出し、空き地の畑、野草、着物と食べものの交換など。工夫した人の名前も聞きます。
戦後の学校は、戦時中と比べてどう変わりましたか。
教科書の墨塗り、青空教室、6・3制、脱脂粉乳の給食など。先生の言葉が残っていれば聞きます。
家族が仕事を立て直していったころのことを聞かせてください。
店の再開、畑仕事、工場勤め、行商など。本人が手伝った仕事があれば、その中身も。
戦地や外地から家族や知り合いが帰ってきたときのことは、どんなふうに覚えていますか。
復員、引き揚げ(外地から戻ること)。帰らなかった人の話になったら、相づちだけにします。
焼け跡や町が変わっていく様子で、覚えていることは何ですか。
バラック、闇市、進駐軍の車、新しい店など。暮らしが戻ってきた目印が取れます。
四いま振り返って思うこと
当時の気持ちと、いま思うことを聞きます。答えが出なくても構いません。沈黙も話の一部として待ちます。
あのころ、いちばん楽しみにしていたことは何でしたか。
祭り、紙芝居、甘いもの、ラジオなど。苦しい時期の小さな楽しみが本に厚みを出します。
暮らしが落ち着いてきたと感じた出来事を聞かせてください。
白いごはんを食べた日、新しい服、就職など。年齢か年代も添えると本の流れが整います。
いまでも戦争のころを思い出させる音や匂い、食べものには、どんなものがありますか。
サイレン、さつまいも、すいとんなど。話したくない様子なら、別の話題に移ります。
当時の自分に声をかけるとしたら、どんな言葉になりますか。
すぐに出なくて構いません。短い一言でも、言葉どおりに書き留めます。
あのころの経験が、その後の暮らし方に残っていると思うことを話してください。
食べものを残さない、物を捨てない、備えを欠かさないなど。習慣の話から入ると答えやすくなります。
孫やひ孫の世代に伝えておきたいことは、どんなことですか。
教訓でなくても構いません。食卓や遊びなど、暮らしの一場面だけでも十分です。
ここまで話してみて、いまどんなお気持ちですか。
話の終わりに聞きます。「話せてよかった」「もう十分」など、どの答えも受け止めます。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手戦争が終わってすぐのころ、毎日の食べものはどんなふうでしたか。
語り手配給だけじゃ足りなくてね。母と一緒に汽車に乗って、農家まで買い出しに行ったよ。リュックを背負って。
聞き手リュックを背負って。農家の人とは、どんなやりとりがあったんですか。
語り手母が着物を出してね、お芋と替えてもらった。嫁入りのときに持ってきた着物だったと、あとで聞いたよ。
聞き手そのとき、お母さんは何か言っていましたか。
語り手「着物は着なくても死なないから」って笑ってた。帰りの汽車で、芋の入ったリュックを私に抱かせてくれてね。重たかったけど、うれしかった。
聞き手重たかったけど、うれしかった。その芋は、家でどんなふうに食べたんですか。
語り手ふかして、きょうだい四人で分けた。弟のみっちゃんが一番大きいのを取って、けんかになったよ。
聞き手いま振り返ると、あの日のお母さんのことをどう思いますか。
語り手強い人だったと思うね。私がいまでも食べものを残せないのは、たぶんあの日の芋のせいだよ。
戦時中と戦後の話は、本のなかで、その後の仕事や家庭の話を支える土台になります。配給の列や買い出しの汽車、墨を塗った教科書といった具体的な場面があると、読む家族はその時代を身近なこととして受け取れます。全部を聞き出す必要はありません。本人が話せた分だけで、一章は十分に形になります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
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見本「寸法は嘘をつかない ――鉄と油と、多摩川の風」(茂さん)
見本「多摩川の風と、みんなで囲んだ食卓」(みっちゃん)