親に聞く質問|時代で聞く
働きはじめたころ・20代の話を聞く質問
最初の仕事、初任給、ひとり暮らし、夢中になったもの
20代は、親の人生が家の外へ大きく動き出した時期です。どこで働き、誰に仕事を教わり、最初のお給料で何を買ったのか。寮や下宿の部屋、職場の音、休みの日に通った場所を聞いていくと、子どもが知らない一人の若者の姿が見えてきます。このページには、仕事に就くまでのいきさつから、暮らしの景色、職場の人と初任給、夢中になったこと、いま振り返って思うことまでを順に聞く質問をまとめました。
一最初の仕事に就くまで
まずは仕事の名前や就いたいきさつなど、答えやすい事実から入ります。話の土台になる年と場所もここで押さえます。
最初に就いた仕事のことを聞かせてください。
会社勤め、家業、店員、工場、農業など。仕事の名前だけ出れば、そこから先へ進めます。
その仕事に就くことになったのは、どんないきさつでしたか。
学校の紹介、親戚の口利き、新聞の求人、家の都合など。誰が決めたかも聞けると話が立ちます。
働きはじめた年のことを、覚えているところから話してください。
年齢や「東京オリンピックの前か後か」など、大きな出来事と並べると思い出しやすくなります。
仕事を選ぶとき、ほかに心にあった道があれば教えてください。
進学、別の職業、家を継ぐ話など。なかったという答えも、そのまま一つの話になります。
初出勤の朝は、どんなふうに家を出ましたか。
着ていった服、持たされた弁当、見送った人など。一つの場面が出れば十分です。
最初に任された仕事は、どんな中身だったのでしょう。
掃除、お茶くみ、伝票書き、見習い作業など。手順を一つ説明してもらうと場面が浮かびます。
仕事を覚えるまでの日々は、どんなふうに過ぎていきましたか。
叱られたこと、こっそり練習したことなど。苦労話でも笑い話でもかまいません。
家の人は、その就職をどう受けとめていましたか。
喜んだ、反対した、何も言わなかったなど。誰が何と言ったか、一言が取れると本に効きます。
二暮らしと職場の景色
住まいや職場、町の様子に入ります。広さや音、匂い、食べたものを聞くと、読み手がその場に立てる文章になります。
働きはじめたころは、どこで暮らしていましたか。
実家、会社の寮、下宿、間借り、アパートなど。町の名前まで出ると場面が定まります。
家を出た日のことを、覚えているかぎり聞かせてください。
夜行列車、駅のホーム、持っていった荷物など。実家から通った人なら、通勤初日の話に替えます。
住んでいた部屋は、どんな様子だったのでしょう。
何畳だったか、窓から何が見えたか、共同の炊事場や便所の有無などを手がかりにします。
職場に入ると、どんな音や匂いがしていましたか。
機械の音、インク、油、売り場の呼び声など。建物の様子も一緒に聞けると場面が立ちます。
朝から晩まで、一日はどんな流れでしたか。
起きる時刻、通勤の乗りもの、昼休み、帰る時刻。休みが何曜日だったかも手がかりになります。
ふだんの食事は、どこで何を食べていたか教えてください。
社員食堂、寮の食事、自炊、定食屋など。よく頼んだ一品を聞くと話がふくらみます。
夜や休みの日は、町のどこで過ごしていましたか。
銭湯、映画館、喫茶店、公園、商店街など。季節の行事も話の入口になります。
三職場の人と初任給
人の名前と出来事を具体的に聞きます。呼び名や言われた一言、初任給の使い道は、本の中でそのまま使える材料です。
職場でいちばん世話になった人のことを聞かせてください。
上司、先輩、同期、寮母さんなど。呼び名と顔つきを聞くと人物が立ちます。
その人に言われた言葉で、いまも残っているものを教えてください。
叱られた言葉でも励ましでもかまいません。言い回しのまま書きとめると、本の台詞になります。
同じころに入った仲間とは、どんな付き合いでしたか。
寮で同室、昼休みに一緒、休みに出かけたなど。名前か呼び名を一人聞けると話が続きます。
初めてお給料を受け取った日は、どんな一日でしたか。
手渡しの封筒か、受け取った場所、誰かに見せたか。金額は聞かなくてかまいません。
初任給の使い道で、覚えているものを教えてください。
親への贈りもの、服、時計、ラジオ、本など。誰のために買ったかも聞きどころです。
仕事でしくじった出来事があれば、その日のことを聞かせてください。
品物を壊した、遅刻した、計算を間違えたなど。誰がどう収めてくれたかまで聞くと話が締まります。
仕事に手ごたえを覚えたのは、どんな場面でしたか。
初めて一人で任された、お客さんに礼を言われたなど。何年目のことかも添えてもらいます。
最初の職場との縁が、その後どうなっていったかを聞かせてください。
長く勤めた、転職した、結婚で辞めた、家業に戻ったなど。区切りの年が出ると年表が整います。
四夢中になったこと、いま思うこと
仕事の外で打ち込んだことと、当時の気持ち、いま振り返っての思いを聞きます。本の章の締めくくりになる部分です。
20代のころ、夢中になっていたことは何でしたか。
映画、音楽、スポーツ、ダンス、山登り、手芸、読書など。仕事そのものという答えもあります。
それに打ち込んでいたころの、印象に残る一日を聞かせてください。
初めて行った場所、大会や発表会、夜更かしした晩など。一緒にいた人も聞きます。
あのころよく聴いていた歌や、よく見ていた番組を教えてください。
曲名が出なければ口ずさんでもらいます。白黒テレビ、ラジオ、レコードなど聴いた道具も手がかりです。
若いころに思い描いていた将来は、どんなものでしたか。
なりたかった職業、住みたかった町など。叶ったかどうかは問わずに聞きます。
働きはじめたころの自分を思い出すと、どんな気持ちになりますか。
なつかしい、恥ずかしい、よくやった、など。一言出れば、そこから理由を聞きます。
あのころの自分に、いま声をかけるとしたら何と言いますか。
すぐ出なければ「あの時期に言われてうれしかった言葉は」と聞き替えます。
20代の日々が、その後の暮らしにどうつながっていったと思いますか。
身についた技術、続いた友人、習慣など。つながっていないという答えも、そのまま受けとめます。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手初めてお給料をもらった日のことを聞かせてください。
語り手工場の事務所で、茶色い封筒を手渡されたの。寮に帰っても、しばらく開けられなかった。
聞き手しばらく開けられなかったんですね。その晩、封筒はどこに置いていましたか。
語り手布団の下。同じ部屋のみっちゃんと、明日の朝開けようねって言って寝たのよ。
聞き手みっちゃんとは、どんなふうに知り合ったんですか。
語り手同じ汽車で出てきた子。駅で私が泣いてたら、あめ玉をくれてね。それからずっと一緒。
聞き手次の朝、封筒を開けてから、最初に何に使いましたか。
語り手母に少し送って、残りで二人して商店街へ行ったの。私は赤い手袋を買った。
聞き手赤い手袋を選んだのは、どうしてでしたか。
語り手田舎ではずっと姉のお下がりだったから。自分で選んだ物を持つのは初めてだったのよ。
聞き手お店で手袋をはめたとき、みっちゃんに何か言いましたか。
語り手「これで私も一人前やね」って。みっちゃんは「まだ早い」って笑ってた。その手袋、いまもたんすにあるのよ。
最初の仕事と初任給の話は、本の中で、親が自分の足で立ちはじめた章の柱になります。職場の音や寮の部屋の様子、先輩に言われた一言が入ると、年表だけでは伝わらない若いころの姿が読み手に届きます。ここで名前の出た仲間や夢中になったことは、その後の章にも何度も顔を出します。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。話しはじめる画面の「今日のテーマ」で「働きはじめたころ・20代」を選ぶと、この話題から聞きます。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「寸法は嘘をつかない ――鉄と油と、多摩川の風」(茂さん)
見本「ひだまりの食卓から ―多摩川の風と、団地の花壇と、あなたへ―」(みっちゃん)