親に聞く質問|テーマで聞く
人生の転機・大きな決断を聞く質問
転職、独立、引っ越し、やめた日
仕事を変えた、店を開いた、町を出た、長く続けたことをやめた。人生の転機の話には、その人が何を大事にしてきたかがはっきり表れます。決めた日の景色、打ち明けた相手、反対した人の一言、いま振り返っての思い。順に聞いていくと、ふだんは「まあ、いろいろあった」で終わる話が、年代と場所と台詞のそろった一章になります。選んだ転機だけでなく、選べなかった変化や、見送った決断も同じように聞いてください。
一人生の分かれ道を思い出す
まずは転機がいくつあったかを広く思い出してもらい、いちばん話したい一つに絞っていきます。
これまでの人生で「ここで道が変わった」と思う時期のことを聞かせてください。
就職、結婚、引っ越し、仕事をやめた日など。いくつか挙がったら一つずつ聞く。
仕事や住まいを大きく変えたことは、これまでに何度ありましたか。
数を聞いてから「いちばん大きかったのはどれですか」と一つに絞ると話しやすい。
生まれ育った土地を離れた日のことを覚えていますか。
離れていなければ、離れようと思ったことを聞く。集団就職や進学の話が出ることも。
自分から選んだ転機と、向こうからやってきた転機では、どちらが多かったと思いますか。
会社の移転、家業の都合、親の世話など、選べなかった変化も大事な話になる。
長く続けてきたことを、自分で区切りをつけてやめた経験はありますか。
仕事、商い、習いごと、役職など。「やめた」話は本の山場になりやすい。
若いころに思い描いていた将来は、どんなものでしたか。
なりたかった仕事や住みたかった町。いまの人生との違いが転機の話につながる。
独立や自分の店を持つことを考えた時期があれば、そのころの話をしてください。
実行しなかった場合も、考えた理由と見送った理由を聞くと話が深まる。
その転機の話を、これまで誰かにしたことはありますか。
初めての話なら急がない。何度も話した話なら、言い慣れた一言が台詞に使える。
二決めた日の景色
理由を聞く前に、決めた日の場所や季節、最初にしたことから入ると、当時の場面がはっきり戻ってきます。
「もう決めた」と心が固まったのは、どこにいるときでしたか。
職場、帰り道、台所、布団の中など。場所が一つ出るだけで場面が書ける。
その日の季節や天気で、覚えていることはありますか。
寒かった、桜が咲いていた、雨だった、など一つでも十分。服装から思い出す人もいる。
決めたあと、最初にしたことは何でしたか。
辞表を書く、家族に話す、荷物をまとめる、上司のところへ行く、などを挙げてみる。
やめる日や移る日の、最後の一日はどんなふうに過ぎましたか。
机の片づけ、挨拶まわり、送別会、誰にも言わずに帰った、など。
新しい場所に着いた日、最初に目に入ったものを聞かせてください。
駅、社屋、借りた部屋、店の看板。においや音の話が出たら書きとめる。
そのころ住んでいた家と、毎日の暮らしぶりはどんなようすでしたか。
社宅、間借り、木造アパート、銭湯通いなど。転機の前と後を比べる材料になる。
決断の前の晩は、どう過ごしていましたか。
眠れなかった、酒を飲んだ、いつも通り寝た、など。迷いの深さが見えてくる。
三相談した人、止めた人
転機のそばには必ず誰かがいます。打ち明けた相手、反対した人、助けてくれた人を呼び名と一言で聞きます。
迷っていたとき、最初に打ち明けた相手は誰でしたか。
配偶者、親、きょうだい、先輩、友人など。呼び名で聞くと人物が立つ。
その人は、話を聞いてなんと言いましたか。
言葉どおりに思い出せる一言は、そのまま本の台詞になる。言い回しを変えずに。
決断に反対した人や、心配した人のことを聞かせてください。
いなければ「背中を押した人」を聞く。反対の理由も添えてもらう。
何も言わずに見ていた人の様子で、覚えていることはありますか。
言葉はなくても、弁当を作った、見送りに来た、などの行動が出ることがある。
その転機で、家族の暮らしはどう変わりましたか。
引っ越し、子どもの転校、帰りの時間など。家族側の記憶と照らすと厚みが出る。
新しい場所で最初に世話になった人のことを教えてください。
親方、大家さん、取引先、近所の人など。呼び名と、助けられた場面を聞く。
前の職場や前の町の人たちとは、その後どんな付き合いになりましたか。
年賀状が続いた、気まずくなった、のちに一緒に仕事をした、など。
そのころの世の中の動きで、決断に関わったものはありますか。
高度成長、東京オリンピック、大阪万博、オイルショックなど。景気の波が出ることも。
四あの決断をいま振り返る
そのときの気持ちと、いま振り返っての思いを分けて聞きます。よかったかどうかは語り手が決めます。
決めた直後は、どんな気持ちでしたか。
ほっとした、怖かった、わくわくした、実感がなかった、などから選んでもらう。
新しい道に移って、いちばん苦労した時期のことを聞かせてください。
お金の細かい話は聞かない。「どんな日が続いたか」を聞けば十分。
あの決断について、気持ちが落ち着いたと感じたのはいつごろでしたか。
「まだ落ち着いていない」という答えもそのまま受けとめる。年数で聞くと答えやすい。
もし別の道を選んでいたら、と考えることはありますか。
「あのまま勤めていたら」「あの町に残っていたら」と具体的に置きかえる。
いま振り返ると、あの決断は人生にどんな意味があったと思いますか。
大きな言葉でなくてよい。「あれで家族と向き合えた」のような一言を拾う。
あのときの自分に声をかけるとしたら、何と言いますか。
台詞のかたちで返ってくるので、言い回しを変えずにそのまま書きとめる。
子どもや孫が大きな決断で迷っていたら、どんな話をしてあげたいですか。
「自分の場合は」と体験で語ってもらうと、説教にならず本の結びになる。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手お父さんが会社をやめて、自分で工場を始めたのはいくつのときでしたか。
語り手三十八だったな。昭和四十年代の終わりごろだ。まあ、いろいろあってな。
聞き手その「いろいろ」のなかで、やめると決めたのは、どこにいたときですか。
語り手帰りの電車だよ。窓に自分の顔が映っててな、このまま定年まで同じ図面を引くのかと思ったら、急に降りたくなった。
聞き手家に帰ってお母さんに話したとき、お母さんはなんと言いましたか。
語り手黙って茶をいれてな、「あんたが決めたなら、私は帳簿をやる」って。あれで腹が決まった。いまでも、あのときの湯のみの柄を覚えてるよ。
転機の話は、本の中で前の章と後の章をつなぐつなぎ目になります。決めた日の場所や季節、打ち明けた相手の一言がそろうと、読む家族はその人がなぜその道を選んだのかを自分の目で追えます。うまくいった話も悔いの残る話も、語り手の言葉のまま残すことで、次の世代が迷ったときに開く一章になります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「寸法は嘘をつかない――鉄と油にまみれて歩んだ道」(茂さん)
見本「できたことを、先に数えて――雪国から教室へ、あなたへ贈る言葉」(ふみえ先生)