親に聞く質問|テーマで聞く
住まいと引っ越しの話を聞く質問
生家、下宿、団地、家を建てた日
住まいの話は、人生をたどるいちばん確かな道筋です。どの家に、何歳から何歳まで、誰と住んでいたかを順に聞いていくと、仕事や結婚、子育て、時代の移り変わりが自然に一本の線になります。間取りを思い出すうちに、台所に立つ人の背中や、縁側から見えた田んぼ、団地の階段で交わしたひと言まで出てきます。引っ越しの理由には、その家族だけの事情が詰まっています。生まれた家から、いまの住まいまで。一軒ずつ、戸口から入るように聞いていきます。
一住んだ家を順に思い出す
まずはこれまで暮らした家を一覧にします。細かい話は後回しにして、家の数と順番、おおよその年齢をつかみます。
これまで暮らした家を、生まれた家から順に聞かせてください。
数が多いときは町の名前だけで一覧にしてから、一軒ずつ戻ります。
生まれた家は、どんな土地にありましたか。
町なか、農村、漁師町、商店街、坂の上など。地名が出たら書き留めます。
いちばん長く住んだのは、どの家ですか。
「何歳から何歳まで」と区切って聞くと、年数を思い出しやすくなります。
子どものころの家には、どういういきさつで住んでいたのでしょう。
代々の家、借家、社宅、間借りなど。親の仕事とつながることが多い話です。
生まれた家で一緒に暮らしていたのは、誰と誰でしたか。
祖父母、おじ・おば、住み込みの人まで。人数と呼び名を聞くと場面が立ちます。
初めて親元を離れて暮らしたときのことを聞かせてください。
就職、進学、奉公、結婚など。年齢と行き先がわかると年表がつながります。
引っ越しは、これまでに何回くらいありましたか。
正確でなくてかまいません。「多かった」「少なかった」という感覚も記録します。
自分の家と呼べる場所を一つ選ぶとしたら、どこになりますか。
生家に限りません。選んだ理由は、あとの質問でゆっくり聞きます。
二生まれた家の間取りと景色
生まれ育った家の中を、語り手と一緒に歩くように聞きます。部屋の並び、季節の過ごし方、音やにおいまでたどります。
玄関を入ってから奥まで、家の中を案内するように話してください。
紙に間取りを一緒に描くと進みます。土間、縁側、板の間、茶の間など。
台所はどんな様子でしたか。
かまど、井戸、水がめ、七輪、ガス台など。誰が立っていたかも聞きます。
お風呂とお手洗いは、家のどのあたりにありましたか。
五右衛門風呂、銭湯通い、外の便所など。時代の手ざわりが出る質問です。
冬の寒い夜、家族はどこに集まって過ごしていたのでしょう。
こたつ、火鉢、いろりなど。寝る場所や布団の並び順まで聞けると場面になります。
家の窓や縁側から見えていた景色を聞かせてください。
田んぼ、川、線路、隣の家の壁、山など。季節で変わった眺めもたずねます。
家のまわりで聞こえていた音や、漂っていたにおいはどんなものでしたか。
汽車の音、豆腐屋のラッパ、風呂を焚く煙、雨の日の土のにおいなど。
自分だけの居場所といえる隅っこは、家のどこにありましたか。
押し入れ、階段の下、物置、木の上など。そこで何をしていたかを続けて聞きます。
三下宿、団地、家を建てた日
家を出てからの住まいと、そこで出会った人、家を建てたり移ったりした日の出来事を聞きます。名前や数字、言われた一言を拾います。
下宿や寮、アパートで暮らした時期のことを聞かせてください。
何畳だったか、共同の炊事場、銭湯通いなど。部屋の広さは数字で聞きます。
そのころの大家さんや、同じ建物に住んでいた人で覚えている人はいますか。
呼び名やあだ名で十分です。言われた一言が残っていれば書き留めます。
自分の家族と暮らし始めた最初の住まいは、どんなところでしたか。
結婚していない方には「自分で借りた最初の部屋」と言い換えます。間取りも聞きます。
団地や社宅に住んだことがあれば、そこでの暮らしぶりを話してください。
ダイニングキッチン、ベランダ、階段の掃除当番、子どもの多さなど。
近所づきあいで、いまも覚えている出来事は何ですか。
おすそ分け、回覧板、もらい湯、テレビを見せてもらった家など。
家を建てる、あるいは買うと決めたのは、いつごろのことでしたか。
年齢や子どもの学年で聞くと答えやすくなります。金額には触れません。
新しい家に初めて足を踏み入れた日は、どんな一日でしたか。
天気、季節、最初にしたこと、一緒にいた人。上棟式や餅まきの話が出ることもあります。
引っ越しの日、荷物はどうやって運んだのでしょう。
リヤカー、オート三輪、トラック、汽車の貨物など。手伝ってくれた人も聞きます。
四引っ越しの理由と、いま思うこと
住まいを移った理由と、そのときの気持ち、振り返っていま思うことを聞きます。急がず、語り手の言葉の選び方を待ちます。
住まいを移ることになった理由で、いちばん大きかったのは何ですか。
仕事、転勤、進学、結婚、家族の事情、災害など。答えにくそうなら先に進みます。
家を出るとき、あとに残してきたものについて聞かせてください。
庭の木、飼っていた動物、友だち、家具など。手放したものに気持ちが表れます。
引っ越しのときに誰かから言われて、覚えている言葉はありますか。
親、きょうだい、子ども、近所の人。台詞はそのまま本に使えます。
新しい土地になじむまで、どんな気持ちで過ごしていましたか。
言葉の違い、知り合いのいなさ、学校や職場。なじめたきっかけも続けて聞きます。
住んだ家の中で、もう一度だけ戻れるとしたら、どの家を選びますか。
その家の、いつの季節の、どの部屋かまで聞くと、章の書き出しになります。
昔住んだ場所を、あとになって訪ねたときのことを話してください。
訪ねていなければ「いまはどうなっていると思うか」を聞きます。
いまの住まいのことを、どんなふうに感じていますか。
住み心地、気に入っている場所、これまでの家と比べて思うことなど。
この話題の聞き方のコツ
避けたい聞き方
掘り方の実例
相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。
聞き手最初に住んだ団地のことを聞かせてください。
語り手昭和四十年ごろかな。四階でね、階段ばっかり上ってた。ベランダから、同じ形の棟がずらっと並んで見えたの。
聞き手階段ばっかり、というと、毎日どんなふうに上り下りしていたんですか。
語り手冬は灯油を下の店で買って、自分で運ぶのよ。赤ん坊をおぶって、缶をさげて。途中の踊り場で一回休むの。
聞き手その踊り場で休んでいたとき、誰かに声をかけられたことはありますか。
語り手隣のみっちゃんがね、「半分持つよ」って下りてきてくれたことがあって。あのとき、ここでやっていけると思ったのよ。
住まいの話は、本の中で章の区切りになります。一軒ごとの間取りや窓からの景色が各章の書き出しになり、引っ越しの理由と、そのとき交わした言葉が章と章をつなぎます。生まれた家からいまの住まいまでを順にたどるだけで、語り手の人生が一冊の流れとして読めるようになります。
語りAI物語で聞く
この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。
答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。
登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。
見本「ひだまりの食卓から ―多摩川の風と、団地の花壇と、あなたへ―」(みっちゃん)
見本「雪あかりの教室から あなたの歩幅で咲けばいい」(ふみえ先生)