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親に聞く質問|テーマで聞く

住まいと引っ越しの話を聞く質問

生家、下宿、団地、家を建てた日

住まいの話は、人生をたどるいちばん確かな道筋です。どの家に、何歳から何歳まで、誰と住んでいたかを順に聞いていくと、仕事や結婚、子育て、時代の移り変わりが自然に一本の線になります。間取りを思い出すうちに、台所に立つ人の背中や、縁側から見えた田んぼ、団地の階段で交わしたひと言まで出てきます。引っ越しの理由には、その家族だけの事情が詰まっています。生まれた家から、いまの住まいまで。一軒ずつ、戸口から入るように聞いていきます。

こんなときに古い家の写真や、昔の町並みの写真が出てきたとき
こんなときに実家の片づけや、住まいの住み替えを考え始めたとき
こんなときに帰省の道中で、昔住んでいた町の近くを通るとき
質問 30問・4つの小見出し聞き役への添え書きつき

一住んだ家を順に思い出す

まずはこれまで暮らした家を一覧にします。細かい話は後回しにして、家の数と順番、おおよその年齢をつかみます。

  1. これまで暮らした家を、生まれた家から順に聞かせてください。

    数が多いときは町の名前だけで一覧にしてから、一軒ずつ戻ります。

  2. 生まれた家は、どんな土地にありましたか。

    町なか、農村、漁師町、商店街、坂の上など。地名が出たら書き留めます。

  3. いちばん長く住んだのは、どの家ですか。

    「何歳から何歳まで」と区切って聞くと、年数を思い出しやすくなります。

  4. 子どものころの家には、どういういきさつで住んでいたのでしょう。

    代々の家、借家、社宅、間借りなど。親の仕事とつながることが多い話です。

  5. 生まれた家で一緒に暮らしていたのは、誰と誰でしたか。

    祖父母、おじ・おば、住み込みの人まで。人数と呼び名を聞くと場面が立ちます。

  6. 初めて親元を離れて暮らしたときのことを聞かせてください。

    就職、進学、奉公、結婚など。年齢と行き先がわかると年表がつながります。

  7. 引っ越しは、これまでに何回くらいありましたか。

    正確でなくてかまいません。「多かった」「少なかった」という感覚も記録します。

  8. 自分の家と呼べる場所を一つ選ぶとしたら、どこになりますか。

    生家に限りません。選んだ理由は、あとの質問でゆっくり聞きます。

二生まれた家の間取りと景色

生まれ育った家の中を、語り手と一緒に歩くように聞きます。部屋の並び、季節の過ごし方、音やにおいまでたどります。

  1. 玄関を入ってから奥まで、家の中を案内するように話してください。

    紙に間取りを一緒に描くと進みます。土間、縁側、板の間、茶の間など。

  2. 台所はどんな様子でしたか。

    かまど、井戸、水がめ、七輪、ガス台など。誰が立っていたかも聞きます。

  3. お風呂とお手洗いは、家のどのあたりにありましたか。

    五右衛門風呂、銭湯通い、外の便所など。時代の手ざわりが出る質問です。

  4. 冬の寒い夜、家族はどこに集まって過ごしていたのでしょう。

    こたつ、火鉢、いろりなど。寝る場所や布団の並び順まで聞けると場面になります。

  5. 家の窓や縁側から見えていた景色を聞かせてください。

    田んぼ、川、線路、隣の家の壁、山など。季節で変わった眺めもたずねます。

  6. 家のまわりで聞こえていた音や、漂っていたにおいはどんなものでしたか。

    汽車の音、豆腐屋のラッパ、風呂を焚く煙、雨の日の土のにおいなど。

  7. 自分だけの居場所といえる隅っこは、家のどこにありましたか。

    押し入れ、階段の下、物置、木の上など。そこで何をしていたかを続けて聞きます。

三下宿、団地、家を建てた日

家を出てからの住まいと、そこで出会った人、家を建てたり移ったりした日の出来事を聞きます。名前や数字、言われた一言を拾います。

  1. 下宿や寮、アパートで暮らした時期のことを聞かせてください。

    何畳だったか、共同の炊事場、銭湯通いなど。部屋の広さは数字で聞きます。

  2. そのころの大家さんや、同じ建物に住んでいた人で覚えている人はいますか。

    呼び名やあだ名で十分です。言われた一言が残っていれば書き留めます。

  3. 自分の家族と暮らし始めた最初の住まいは、どんなところでしたか。

    結婚していない方には「自分で借りた最初の部屋」と言い換えます。間取りも聞きます。

  4. 団地や社宅に住んだことがあれば、そこでの暮らしぶりを話してください。

    ダイニングキッチン、ベランダ、階段の掃除当番、子どもの多さなど。

  5. 近所づきあいで、いまも覚えている出来事は何ですか。

    おすそ分け、回覧板、もらい湯、テレビを見せてもらった家など。

  6. 家を建てる、あるいは買うと決めたのは、いつごろのことでしたか。

    年齢や子どもの学年で聞くと答えやすくなります。金額には触れません。

  7. 新しい家に初めて足を踏み入れた日は、どんな一日でしたか。

    天気、季節、最初にしたこと、一緒にいた人。上棟式や餅まきの話が出ることもあります。

  8. 引っ越しの日、荷物はどうやって運んだのでしょう。

    リヤカー、オート三輪、トラック、汽車の貨物など。手伝ってくれた人も聞きます。

四引っ越しの理由と、いま思うこと

住まいを移った理由と、そのときの気持ち、振り返っていま思うことを聞きます。急がず、語り手の言葉の選び方を待ちます。

  1. 住まいを移ることになった理由で、いちばん大きかったのは何ですか。

    仕事、転勤、進学、結婚、家族の事情、災害など。答えにくそうなら先に進みます。

  2. 家を出るとき、あとに残してきたものについて聞かせてください。

    庭の木、飼っていた動物、友だち、家具など。手放したものに気持ちが表れます。

  3. 引っ越しのときに誰かから言われて、覚えている言葉はありますか。

    親、きょうだい、子ども、近所の人。台詞はそのまま本に使えます。

  4. 新しい土地になじむまで、どんな気持ちで過ごしていましたか。

    言葉の違い、知り合いのいなさ、学校や職場。なじめたきっかけも続けて聞きます。

  5. 住んだ家の中で、もう一度だけ戻れるとしたら、どの家を選びますか。

    その家の、いつの季節の、どの部屋かまで聞くと、章の書き出しになります。

  6. 昔住んだ場所を、あとになって訪ねたときのことを話してください。

    訪ねていなければ「いまはどうなっていると思うか」を聞きます。

  7. いまの住まいのことを、どんなふうに感じていますか。

    住み心地、気に入っている場所、これまでの家と比べて思うことなど。

この話題の聞き方のコツ

間取りを紙に描きながら聞く生まれた家の話は、紙とペンを用意して、語り手と一緒に間取りを描きながら聞きます。「玄関はこっち、その奥に茶の間」と指でたどるうちに、言葉だけでは出てこない部屋や人の記憶が戻ってきます。描いた図は本の挿絵にもなります。
一軒ごとに年齢と年代を押さえる住まいは本の章立ての柱になります。一軒ごとに「何歳から何歳まで」「そのころ世の中で何があったか」を確かめておくと、あとで年表が組めます。正確でなくてよく、「東京オリンピックのころ」のような覚え方でも十分です。
部屋の中に人を置いて聞く間取りや景色が出てきたら、「そこには誰がいましたか」と続けます。こたつのどの辺に誰が座っていたか、台所に立っていたのは誰か。家の話が家族の話に変わるところで、台詞や気持ちが出てきます。

避けたい聞き方

引っ越しの理由を問い詰める住まいを移った理由には、家業のつまずきや家族の別れ、災害など、話しにくい事情が含まれることがあります。答えがあいまいなら深追いせず、景色や暮らしの話に戻します。
家の値段や借金の話を聞く家を建てた話になると金額やローンを聞きたくなりますが、お金の細部は聞きません。「決めたときの気持ち」「建った日の様子」を聞けば、本に必要な話は十分に取れます。
「いい家だったでしょう」と決めつける生家が狭かった、寒かった、居づらかったという人もいます。「懐かしいでしょう」「広かったでしょう」と先回りせず、「どんな家でしたか」と開いて聞き、出てきた言葉をそのまま受けとめます。

掘り方の実例

相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。

聞き手最初に住んだ団地のことを聞かせてください。

語り手昭和四十年ごろかな。四階でね、階段ばっかり上ってた。ベランダから、同じ形の棟がずらっと並んで見えたの。

聞き手階段ばっかり、というと、毎日どんなふうに上り下りしていたんですか。

語り手冬は灯油を下の店で買って、自分で運ぶのよ。赤ん坊をおぶって、缶をさげて。途中の踊り場で一回休むの。

聞き手その踊り場で休んでいたとき、誰かに声をかけられたことはありますか。

語り手隣のみっちゃんがね、「半分持つよ」って下りてきてくれたことがあって。あのとき、ここでやっていけると思ったのよ。

住まいの話は、本の中で章の区切りになります。一軒ごとの間取りや窓からの景色が各章の書き出しになり、引っ越しの理由と、そのとき交わした言葉が章と章をつなぎます。生まれた家からいまの住まいまでを順にたどるだけで、語り手の人生が一冊の流れとして読めるようになります。

語りAI物語で聞く

この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。

答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。

登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。

無料で3話ためす くわしい使い方