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親に聞く質問|場面で聞く

介護施設の回想法で使う質問

職員・レク担当の方へ。短い時間で、無理なく

回想法は、昔の話を思い出して語ってもらうかかわり方です。正しく思い出せたかどうかより、話す時間そのものに意味があります。このページの質問は、おやつ、洗濯板、紙芝居、盆踊りといった手がかりから入り、その場の景色、出会った人、そのときの気持ちへと進みます。一つの話題を10〜15分ほどで聞ける短い質問です。答えが短くても、出てきた言葉を一つ拾えば話は続きます。聞いた話は、ご本人の一冊の記録にもなります。

こんなときにレクの時間に、少人数で昔の話をする時間をつくるとき
こんなときに入居して間もない方と、話のきっかけを探しているとき
こんなときにご家族から、本人の昔の話を残したいと頼まれたとき
質問 30問・4つの小見出し聞き役への添え書きつき

一季節と食べもの、暮らしの道具

手に取れるものや味の記憶から入ると、最初の一言が出やすくなります。実物や写真を添えて聞きます。

  1. いまの季節になると、どんな食べものを思い出しますか。

    春ならたけのこ、夏ならすいか、秋なら焼き芋。実物や写真があると話が出やすいです。

  2. 子どもの頃、おやつはどんなものでしたか。

    ふかし芋、駄菓子、かき氷など。答えが短いときは「甘いものか、しょっぱいものか」と二択に。

  3. お正月には、どんなものを食べましたか。

    お雑煮の餅は丸か角か、すまし汁かみそか。土地による違いが話の入口になります。

  4. 台所には、どんな道具がありましたか。

    かまど、七輪、羽釜、すり鉢など。写真を見せて、使い方を教えてもらうのも手です。

  5. 洗濯はどんなふうにしていましたか。

    たらいと洗濯板、井戸、のちに洗濯機。手の動きをまねてもらうと思い出しやすくなります。

  6. 冬の寒い日は、家でどう過ごしましたか。

    こたつ、火鉢、湯たんぽ、半纏。体で感じた記憶は、言葉が出にくい方にも残りやすいです。

  7. 夏の夜といえば、どんな景色が浮かびますか。

    蚊帳、うちわ、蚊取り線香、縁側の夕涼み。匂いの話が出たら、そこを広げます。

  8. よく口ずさんだ歌を教えてください。

    童謡、唱歌、流行歌。職員が最初の一節を歌うと、続きを一緒に歌ってくださることがあります。

二遊びと町の景色

子どもの頃の遊び場や通り道を聞き、その場の音や景色に入っていきます。場所が出たら広げます。

  1. 子どもの頃は、どんな遊びをしていましたか。

    お手玉、おはじき、めんこ、ベーゴマ、縄跳び、かくれんぼ。名前を挙げて選んでもらいます。

  2. その遊びは、どこでしていましたか。

    路地、空き地、神社の境内、川原など。場所が出ると景色の話につながります。

  3. 紙芝居が来たときの様子を聞かせてください。

    拍子木の音、水あめ、型抜き。見たことがなければ、ほかに町に来た人の話に広げます。

  4. 銭湯やお風呂の思い出を聞かせてください。

    番台、壁の大きな絵、湯上がりの牛乳。家の風呂だった方には、風呂焚きの話を聞きます。

  5. 家の近くには、どんなお店がありましたか。

    八百屋、魚屋、駄菓子屋、豆腐屋のラッパ。店の人の呼び名が出ると話が深まります。

  6. 学校へは、どんな道を通って通いましたか。

    歩いた時間、田んぼ道、坂、橋など。距離や時間の数字は本にも残しやすい要素です。

  7. 家の中で、いつも座っていた場所はどこでしたか。

    ちゃぶ台のどの辺、縁側、こたつ。間取りを指で描いてもらうと場面が浮かびます。

三出会った人と出来事

近所の人、友だち、先生、仕事。呼び名や言われた一言が出たら、そこで少し立ち止まって聞きます。

  1. 近所には、どんな人が住んでいましたか。

    世話好きなおばさん、怖いおじさん、遊び仲間。呼び名で答えてもらえれば十分です。

  2. 仲のよかった友だちのことを聞かせてください。

    呼び名、一緒にしたこと、どこで会ったか。名前が出なくても気にせず先へ進みます。

  3. 学校の先生のことで、浮かぶことはありますか。

    言われた一言、あだ名、得意だった科目。叱られた話も笑い話になることが多いです。

  4. お祭りや縁日は、どんなふうでしたか。

    盆踊り、夜店、綿あめ、金魚すくい、お神輿。太鼓や笛の音から聞くのも手です。

  5. 初めて働いた頃のことを教えてください。

    何歳ごろ、どんな仕事か。家の手伝い、田畑、店番も立派な仕事として聞きます。

  6. 仕事で使っていた道具や、決まった服装はありましたか。

    そろばん、ミシン、鍬、制服、前掛け。手の動きを見せてもらうと話が続きます。

  7. 初めてテレビを見たのは、どこでしたか。

    誰の家か、白黒の画面に何が映ったか。東京オリンピック(昭和39年)の頃の話も出やすいです。

  8. 遠くへ出かけたときのことを聞かせてください。

    修学旅行、汽車、社員旅行、大阪万博(昭和45年)など。行き先と乗りものを聞きます。

四そのときの気持ち、いまの楽しみ

話の終わりに気持ちを聞き、いまの暮らしにつなげて締めくくります。答えは評価せず受け止めます。

  1. そのとき、どんな気持ちでしたか。

    うれしい、どきどきした、ほっとした、など。言葉が出にくいときは表情を見て選択肢を出します。

  2. 子どもの頃、言われてうれしかった言葉はありますか。

    誰に、どんな場面で言われたか。台詞のまま残せると、本の中で生きます。

  3. 若い頃、得意だったことを教えてください。

    料理、裁縫、歌、計算、運動など。いまの生活でできることにつなげる話にもなります。

  4. あの頃の自分に、ひと言かけるとしたら何と言いますか。

    「よくやった」「大丈夫」など。すぐ出なくても待ち、どんな答えでも受け止めます。

  5. いまでも好きな食べものは何ですか。

    昔から変わらないものか、最近好きになったものか。食事の時間の話題にも使えます。

  6. 毎日の中で、ほっとするのはどんなときですか。

    お茶の時間、日なたぼっこ、歌、誰かと話すとき。今日の暮らしにつなげて終えます。

  7. 今日の話の中で、いちばん心に残っている場面はどれですか。

    職員が出てきた話を二つ三つ挙げて選んでもらいます。締めくくりの質問に向いています。

この話題の聞き方のコツ

手がかりを手に持ってもらう写真より実物、言葉より音や匂いのほうが記憶を呼びます。お手玉、洗濯板、湯たんぽ、干し柿など、触れられるものを一つ用意します。手を動かしているうちに「こうやって縫ったのよ」と話が出てくることがよくあります。
答えが短いときは二択にする「どうでしたか」に返事がないときは、「暑かったですか、寒かったですか」「お店は近かったですか、遠かったですか」と二つから選んでもらいます。選んだほうを受けて「遠かったんですね」と言葉を返すと、次の話が出やすくなります。
同じ話は何度でも聞く認知症のある方は、同じ話を繰り返すことがあります。初めて聞くつもりで聞き、前回と違う細部が出たら拾います。話の正確さは確かめなくてかまいません。ご本人が語りたい場面こそ、その方にとって大事な記憶です。

避けたい聞き方

死別や病気の話を掘り下げない亡くなった家族や戦争でのつらい体験、病気の話が出たら、無理に先を聞きません。「大変でしたね」と受け止めて、季節や食べものの話に戻します。職員の側から話題にするのは避けます。
家族の争いやお金の話に入らないきょうだいの不仲、相続、借金、給料の額などは、ほかの入居者がいる場では特に避けます。本人が話し始めたときも詳しく聞かず、「いろいろありましたね」と受けて次の話へ移ります。
試すような聞き方をしない「今日は何日ですか」「娘さんの名前は」のように正解がある問いは、答えられないと本人を傷つけます。「覚えていますか」を重ねるのも同じです。思い出せなくても困らない、正解のない問いを使います。

掘り方の実例

相手の言葉を一つ拾って、場面と台詞を取りにいく流れです。語り手は架空の人物です。

聞き手お手玉を持ってきました。手に取ると、どんなことが浮かびますか。

語り手ああ、これはね、姉さんが縫ってくれたの。中に小豆が入ってて。

聞き手小豆が入っていたんですね。お姉さんは、どこで縫っていましたか。

語り手縁側よ。冬の日なたで。古い着物をほどいた端切れでね。私は横で見てるだけ。

聞き手冬の縁側で。縫いながら、お姉さんは何か言っていましたか。

語り手「みっちゃんのは赤いのにしようね」って。私、赤が好きだったから。

聞き手赤いのを作ってもらって、どんな気持ちでしたか。

語り手うれしくてね、学校にも持っていったの。いまでも赤い色を見ると、あの縁側を思い出すわ。

聞き手学校では、誰と一緒に遊びましたか。

語り手隣の席のよっちゃん。あの子はお手玉が三つできたのよ。私は二つまで。

施設で聞いた話は、その日の会話で終わらせず、呼び名や台詞、季節の景色を一行でも記録に残しておきます。「赤いお手玉」「冬の縁側」のような短い言葉が集まると、ご家族も知らなかった本人の姿が見えてきます。やがてそれは、本の一章を支える確かな場面になります。

語りAI物語で聞く

この質問を、AIが聞き手になって
一つずつ聞きます。

答えはスマホのマイクで話すだけ。相手の言葉を拾って掘り、話した分が年表に貯まり、一冊の本になります。

登録なしで3話まで無料。親御さんの隣で、聞き役のあなたが操作しても使えます。

無料で3話ためす くわしい使い方